COLUMNコラム

認知症になってしまったら出来なくなること


認知症対策

認知症の症状は突然現れます。「あれ?最近親の物忘れが増えてきたな…」と思ってからの進行は早いです。

できればそのようになる前に最善の準備で備えたいものですが、そうもいかないのが現状です。

 

残念ながら認知症になってしまうと「判断能力がない」という扱いを受けてしまい、多くのことが出来なくなってしまいます。

本コラムで、「認知症になったらできなくなってしまうこと」を理解し、しっかり準備をしましょう。

 

認知症になったらできなくなること(日常生活)

・不動産売買
・預金引き出し
・その他契約行為

 

不動産売買

名義が認知症になってしまった人の不動産(共有名義も含む)の売買を行うことが出来なくなります。

ご自宅の売却費用を頭金に老人ホームへの入居を考えている方も多くいらっしゃいますが、少しでも認知症の傾向がある場合は売却が不可能です。

 

この判断は厳格であり、認知症の兆候があるのに、不動産売却を行った場合はそのサポートを行った人(不動産会社、士業専門家)は罰せられる為、売却までたどり着きません。

 

この場合、成年後見制度を申し立て、後見人の判断に沿って不動産売却を進めるため、非常に時間がかかります。

 

預金引き出し

銀行は本人の財産を守る手段として「口座凍結」をします。

 

認知症になってしまうと日常の介護費用や施設への入居費用などが掛かりますが、そのような正当な理由であっても引き出すことはできません。

 

残念ながらそれらの費用は一時的(成年後見制度が認められるまでの3~4か月)にご家族が負担をしなくてはならず、重くのしかかってきます。

 

その他契約行為

基本的には判断能力が必要な契約行為をすることが出来なくなります。保険契約もその一つです。

 

認知症になったらできなくなること(生前対策)

・生前贈与
・家族信託
・遺言書作成※

 

認知症が発生してしまったら、生前対策を取ることが出来なくなります。

 

上述しましたが、「認知症=判断能力がない」となってしまうため、「元気な内から」対策を取らなくてはなりません。

を実現することが出来なくなります。

「自分はまだ元気だから大丈夫…」

「うちの両親は物忘れなんか無い!」と安心されている方も多くいらっしゃると思いますが、

65歳以上の20%は認知症の時代に突入しています。決して他人事ではありません。

 

認知症でも遺言書は書ける?

遺言書の場合、少し注意しなくてはなりません。結論から言うと「法律上は認知症でも遺言は書ける」と言うことになります。

 

 

遺言をする時において遺言能力を有しなければならず、意思能力がない者が遺言をすることができないことは当然ですが、成年被後見人、被保佐人、被補助人であっても、遺言時において遺言能力を有していれば遺言をすることができます

 

しかし、注意しなければならないのが下記条件です。

 

・事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をすること
・医師二人以上の立会があること

 

判断能力がない場合、上記条件をクリアする必要があります。

 

 

医者は立ち合いを嫌がります。自分がOKを出したとなると、遺言の有用性で相続人間で争いが生じ、裁判に証人として呼出されるかもしれないので、面倒なことに首突っ込みたくないんです。

 

この立ち合いをしてくれる医者を探すのは非常に難しいので、実態としては、「法律上は書けるが、現実的に書けない」と思った方がいいでしょう。

 

「もっと早くから準備しておけばよかった」とならないうちに準備することを強くお勧めします。

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